ゆっかーの推し★ライダー 第5回 大岩 義明選手 若手からベテランまで、馬場・障害・総合馬術の3種目で菅井友香が注目するライダーの魅力をたっぷり紹介!

ゆっかーの推し★ライダー 第5回 大岩 義明選手 若手からベテランまで、馬場・障害・総合馬術の3種目で菅井友香が注目するライダーの魅力をたっぷり紹介!

第5回 大岩 義明選手

総合馬術のエースとして注目されている大岩義明選手。明治大学馬術部で活躍後、一度馬術から離れましたが、2001年にオリンピック出場を目指して単身ヨーロッパへ武者修行に。2008年の北京オリンピックでようやく夢を叶えると、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと3大会連続出場を果たしました。また、2017年には、完走するだけでも名誉といわれる伝統ある英国の総合馬術大会、バドミントンホーストライアルズで日本人選手として過去最高の8位入賞。そして2018年のアジア競技大会では個人・団体でダブルの金メダルを獲得、続く世界選手権では団体4位に入賞しました。東京オリンピックを前にコンスタントに好成績を挙げている、まさに日本の総合馬術を牽引する存在である大岩選手にお話を伺いました。

菅井 友香

3日間で馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3種目を行う総合馬術。本当に大変だと思うのですが、それだけやりがいのある種目ですよね。総合馬術で上位の成績を挙げるために大事なことはどんなところでしょうか?

大岩 義明

まずは3種目すべて安定した成績を出せる状態にしておくことですね。1つが秀でていても逃げ切ることは難しいです。それから3日間の競技に耐え得るコンディションに整えておかなければいけませんよね。

菅井 友香

馬術スペシャルアンバサダーの活動の中で、大岩選手が愛馬とクロスカントリーに出場している映像を何度も拝見したのですが、本当に格好良かったです。クロスカントリーの面白さ、魅力はどんなところか教えてください。

大岩 義明

やはり馬と助け合いながらゴールを目指すところですね。もちろん我々乗り手が指示を出すわけですけれど、必ずしも思った通りに走れるとは限りません。ぬかるんでいれば滑るし、脚をとられることもありますから。それでも障害物を越えていかないといけないので、目測を誤ったり角度がキツくなってしまったときも頑張って飛んでもらったり。ゴールしたときは何とも言えない達成感がありますね。

菅井 友香

クロスカントリー種目で、これまで一番難しかった障害物はどんなものでしたか?

大岩 義明

難しい質問ですね。例えばリオデジャネイロオリンピックで僕は1つの障害物だけ最短ルートで飛ばなかったのですが、その理由は馬が転倒する確率がかなり高かったからです。果敢に攻めた馬はほぼ転倒していました。こういう障害を難しいと言うならそうだし、危険とも言えますよね。

菅井 友香

総合馬術では最終種目の障害馬術で大逆転といった展開もあるかと思いますが、そのような経験の中で一番印象深い試合について教えてください。

大岩 義明

2005年に初めて挑戦したバドミントンホーストライアルズでしょうか。クロスカントリーが終わって3位、そこから(障害物を)3つ落として11位まで順位が下がったとき。大逆転ではなくてその反対だけど…。

菅井 友香

続いて、大岩選手ご自身のことについて伺います。一度は馬術から離れられたと伺いましたが、またオリンピックを目指そうと思ったのはどうしてですか? また、総合馬術を選んだのはどんな思いからですか?

大岩 義明

シドニーオリンピックの開会式をテレビで見ていて、「ここが自分の夢だった」と心から思いました。そして、オリンピックの年になる度に「挑戦してみたかった」という気持ちになる人生は後悔すると思ったからです。総合馬術を選んだのは、自分が世界で活躍するならこの種目だと思ったからです。

菅井 友香

そしてヨーロッパを拠点に各地を転戦する武者修行に出られましたが、当時はどんな苦労がありましたか?

大岩 義明

自分の馬もいなかったし、社会に出てから渡欧したので当然家からの援助もなく、アルバイトをしながら何とか活動していました。遠征ができるようになっても、ナビがなかったので地図を見ながら東はポーランド、南はポルトガルまで行きました。近くまで行ってから道を聞こうとしても言葉が全く通じない…なかなか大変でした。

菅井 友香

今はドイツを拠点に活動されていますが、どんな場所、環境か教えてください。

大岩 義明

田舎ですよ。ホルシュタイナーという馬の産地のエリアになるので、馬はいますね。トレーニング施設はインドアが2つに外の馬場が3つ、それにウォーキングマシーンやパドックもあって充実しています。

菅井 友香

ヨーロッパの総合馬術大会はどのような雰囲気ですか?また、初めて優勝したヨーロッパの大会とそのときの気持ちを教えてください。

大岩 義明

大きな国際大会だと結構華やかで、クロスカントリーの日はものすごい観客数です。日本の総合馬術しか知らない方は驚くと思います。初めての優勝は昔すぎて覚えていないです(笑)。たぶん、そこそこ嬉しかったかと。

菅井 友香

2018年は、世界選手権で強豪国を抑えて団体4位という成績を挙げました。4位に入った時はどんな思いでしたか?

大岩 義明

「悔しい、もうちょいかぁ、3位に入りたかった」という思いでした。

菅井 友香

個人戦と団体戦では、作戦の立て方や気持ちの面などで違いがあるのですか?

大岩 義明

団体戦だとどうしても無茶はできません。確実に成績を出すために、リスクなどを計算しないといけません。僕自身は、気持ちは特に変わりませんね。できることは決まっていますから。

菅井 友香

日本代表の団体チームはとても仲が良く、チームとしての結束力も強いと伺いました。大岩選手から見た日本チームはどんなチームか、印象を聞かせてください。

大岩 義明

みんな同じ目標に真っすぐに向かっています。お互い刺激し合ってとても良い関係だと思います。

菅井 友香

大岩選手とコンビを組む愛馬はキャレ、バートエルJRA、ザ・デュークオブカヴァンの3頭と伺っています。それぞれどんな性格かなど、特徴を教えてください。

大岩 義明

キャレはビビり。
バートは気合いを入れないとやらないタイプ。
デュークは勇気は誰にも負けない。

菅井 友香

ところで、奥様の武田麗子選手も障害馬術で東京オリンピック出場を目指していますが、普段はよく馬術の話はしますか?

大岩 義明

ほぼしませんね(笑)。

菅井 友香

奥様も馬術選手ということで、大岩選手ご自身にとってもいろいろとプラスになる点があると思いますが、それは例えばどんなどころでしょうか?

大岩 義明

いろいろなことに理解がありますね。馬は動物ですから、予定通りにいかないことも多々ありますが、そういう状況もわかってくれます。

菅井 友香

お子様が馬と触れ合う機会もよくあるかと思いますが、馬術競技の選手を目指してほしいという思いはありますか?

大岩 義明

特に思っていませんね。本人の好きなことをやらせてあげたいです。

菅井 友香

テレビや雑誌、イベントなど、数多くのメディアに出演されている大岩選手ですが、どのような思いを持って馬術について発信されていますか?

大岩 義明

馬術はどこでもできるスポーツではないので馴染みがないですよね。動物とペアで行うスポーツで、練習以外にも手入れや厩舎の掃除など、馬とコミュニケーションを取ったり触れ合ったりという部分があります。他のスポーツとは違うところがあり、それが良さの一部でもあると思っています。そのようなことを含めて、こんな競技もあるんだなってわかっていただければ嬉しいですね。

菅井 友香

もし大岩選手が東京オリンピックでメダルを取れば、1932年のロサンゼルスで金メダルを獲得した西竹一選手以来のオリンピックでのメダル獲得となります。現時点での手ごたえはどのようなものでしょうか?

大岩 義明

世界選手権で4位だったので、不可能ではないと思っています。本気で狙っていると話しても恥ずかしくないところには来ました。

菅井 友香

東京オリンピックで愛馬と共に駆ける大岩選手の格好良い姿を目に焼き付けたいです!最後に、オリンピックへ向けての意気込みや、ファンの皆さまへのメッセージをお願いします!

大岩 義明

1年延期が決定しましたが、すべての競技会が中止となっていて、再開の目途が立っていない状況です。来年にピークを持っていけるよう、もう一度プランを立て直してしっかり準備していきます。選手全員、真っ直ぐ自分達の目標に向かって日々を過ごしています。見ている皆さんが手に汗握る勝負をして、応援してくださった皆さんと全員で喜びを分かち合える瞬間を目指して全力を尽くします。必ず決めます。


©Ryosuke KAJI


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